第8回参加者 特別寄稿 | ||
大分市のYさんより、参加者の声を代表し今回の定例会に対する寄稿を頂きました。今回残念ながら参加できなかった方にも、会の雰囲気が伝わればと思います。
『第8回市民公開緩和セミナーに参加して』
2004年6月12日土曜日、私は大分緩和ケア研究会主催の第8回市民緩和ケアセミナーに参加しました。これまでは、どこかよそ事に感じていた病名が近年身近になった事に加え、側でその病気を抱える人々の苦しみを知ってからの参加は、とても意義のあるものになりました。
一部は、放射線による治療とその成果についてのお話しでした。これは、どちらかというと研究発表に近い医学的な説明が主となる講演でした。
二部は、痛みのメカニズムとその種類、自分らしくあるためにいなかる痛みも、決して我慢する必要はなく、緩和すべき、出来るものするもの、というペインケアのお話しでした。
一部、二部ともに医療の実態を知らない私には、激しい痛みを伴うがんだけにはなりたくないという漠然とした恐怖心を持っていましたが、講演を聞くうちに心が安らいでいくのを感じました。また、それぞれの講演後に持たれた参加者からの質問も数多く、なかには現役の医師が末期の患者への接し方に関する質問や、患者の家族が主治医に緩和ケアを取り入れたいと、言えない悩みの声もあがり、ドクターのもつポリシーの違いが大きなハードルになっている現実なども思い知らされました。
いずれにしろ、参加者の関心の高さと、それに誠実に答えようとする講師の姿に心打たれる三時間は、制限時間をオーバーする熱心さでした。
会場を出た私は、これまで抱いていたがんにたいする不安や怖さが薄れ、どこかすがすがしい気持ちになっている自分に気がつきました。
医術は、私たちが考えているよりもはるかに進み、ドクターも患者のために日々心を寄せてくれているのだという事実が私を勇気づけてくれました。
すべては、正しく知ることそれから理解して自分の意志を伝えることが大切だと感じました。もちろん、その場になれば、今のような気持ちのままではいられないでしょうし、一人で克服するのは難しいと思いますが、それでもいたずらに怖がる必要はないと思いました。ただ、信頼できる医師との深いコミュニケーションのとれる状態をどう持っていくかということが、今後の大きな課題のような気がしましたが・・・
私はこのような会に一人でも多くの人に参加してほしいと思います。特に、若い人の参加によって、がんのみならず、病を抱える人々の苦しみや大変さ、ドクター達の医術に寄せる情熱と愛情を知ってもらえることは、知識がないために起こる医師への不信感が生む意味のない不安はなくなり、これからの社会に大きな安心感をもたらすのではないかと考えました。