報 告 |
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第27回大分緩和ケアの夕べ
日 時 : 平成21年7月15日(水)
場 所 : 大分アステム 4階大会議室
参加人数 :
【 講演内容 】
『 がん患者のサイコオンコロジーについて』
演者: 引地 孝俊氏 (大分大学医学部 精神科助教)
【 講演要旨 】
サイコオンコロジー(精神腫瘍学)は、がん患者のメンタル(精神的)・ケアを扱う。進行がん患者および家族は、検査結果説明を受ける前後から強烈な「苦痛(つらさ)」と向かい合う。それは、身体症状(痛み、倦怠感、その他の症状)に加え、精神的な苦痛・症状(抑うつ・不安、不眠など)、社会的(経済的、家庭、仕事上など)・実存的(生きる意味、死の恐怖、)な苦痛に及ぶ(全人的な苦痛)。これらに対して、@疾患に関する正しい知識の獲得A家族による心理的・社会的サポートB医療者の傾聴などは効果的である。これらが不十分であれば患者の苦痛は持続・増悪し、その結果、適応障害・うつ病を発症し、化学療法の拒否による予後悪化、自殺と言う悲劇的な転帰にもなる。対応は精神症状の早期発見、早期治療が原則である。また予防も重要である。治療は、薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬)、傾聴法などが有効である。精神療法では、実存的な面を含めて、患者の「自尊心」に焦点を当てた治療(dignity therapy)が有効との最近の報告がある。
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