報 告

 第20回大分緩和ケアの夕べ

日   時  : 平成20年8月13日(水)
場   所  : 全日空ホテル・オアシス5階
参加人数 : 228名 
         医師22名、看護師156名、薬剤師18名、その他32名 
                 

今回は20回目の記念であり、日本で。最も有名なチャプレン(がん終末期の心のケアを行う人)である沼野尚美に来て頂いた。会場は人で溢れていた。
今回は終末期の患者さんや家族の悩み苦しみ対して、そのケアや対応の仕方を懇切丁寧に講義して頂いた。
特にユーモアを交えた関西弁のマシンガントークは“目からうろこ“ことが多く、笑いあり、涙ありの、素晴らしい90分間の講義であった。
大好評であった。(文責:山岡憲夫)


 【 講演内容 】

『 がん終末期の患者の叫びと、そのケア 』

演者: 沼野 尚美 氏(六甲病院 チャプレン)


 【 講演要旨 】

6つのことを述べた

1)“残された時間をどう生きたら良いのか”
 残された時間を意義ある時間とできるのか?
 余命:これはとても残酷である。命の限界を知らしめる。
 多くの医師は、余命2-3か月ということがある。
 この期間は、一見、元気そうに思える時間であり、とても死ぬようには見えなし。しかし、本人は“何となくしんどい”
 患者さんは、思う余命は、聴かされる余命より長く思っている。
 残された時間の使い方が分らない。
 患者は“命を削ってもしたいことがある”
 患者が、関心があることはあるのか。
 集中できることは何か
 40歳の男性、美術部であり、絵を描き始めた。いつの間のか夕食の時間“もうこんな時間になったのか“

 最後の時間の使い方、その方の生き方
 “生き生きとした患者さん”
 自分の人生に納得する作業が必要である。

 医療者は:患者の、病める人の気持ちを代弁してもしい。


2)“何故自分はがんになったのか”
 何故、自分がこんな思いをしないといけないのか
 辛い時は、だれかのその思いを聴いてほしいのです。
 悔しい気持ち分ってほしいのです。

 「共感する。」技術が必要である。


3)“死んだらえどうなると思う“
 死んだ事がないから分らないではすまされない。
 患者さんは“おれはとってもがっかりした。ここは専門の病院なのに”
 死の話題から逃げない。

 どうしても答えられないとき:“あなたはどのようにお思いですか”と聞く。

 “死んだらえどうなると思う“
 この問いの返答
 @ どんな所だったら、行ってみたいと思いますか
 A どのようになっていると思いますか


4)懺悔をしたくなること
 痛みがモルヒネで取れてくると、笑顔が出てくる。するとその人らしく生きれるようになる。
 患者さんは痛みがない日は、天井を見ながら、自分の心を見ている。
 自分の人生を思い返す。
 その時に、昔したことを強く悔やむ
 口で言わないと分らないことがある。
 大切な時間: ごめんねを言う時間でもある。


5)希望を求める叫び
 あの人しかいないと言っていた人が、失恋した。自分にはもっとふさわしい人がいる。希望をすりかえる。
 代わりの物を求める。
 希望をすり替える・
@ 日々の生活の中で、実現可能なものを作る 
 自分のカレンダーを作る。カレンダーに中に喜びを作る、孫が来る
A 待たれる医療者になるように

 家族のきずなを保持させる。
 お母さんの周りで、お母さんの喜ぶ話題を話す、感謝の気持ちを話す。
 近況報告する。
 亡くなっても、また行ける。待っててね。


6)最後に何がほしいのか、最後の叫び
 それは愛されていると思う、感じさせてやること。
 自分が生まれてきて良かったと思うこと。
 お母さんの言葉を大切にします。あなたが大好きです。
 分っても言わなければいけない。

               (文責:山岡憲夫)